2018年3月17日土曜日

4月16日、本年の公開測定開始

今年は東京電力福島第1原発メルトダウンから7年の節目、また黒姫駅前みんなの測定所が毎週月曜を公開測定日としてからも5年が経ちました。年月が経って、公開測定日に測定検体をお持ちになられる方は稀になっておりますが、私たちは今年も昨年同様に公開測定日を設けて放射能汚染をチェックしたい方々のご要望にお応え致します。また、何かしら気掛かりなことがありましたら、当測定所へお気軽に声をかけてみてください、お役に立てることもきっとあるでしょう。

さて私たちの測定所では公開測定日にお受けする検体のほかに、随時、スタッフが気になっているものなどを測定したり、毎年、町内の公共場所、ことに子供たちが多くの時間をすごす保育園や学校などの7区域の環境から、おおよそ20点近くの土壌を採取し、継続的に放射性セシウム濃度を測定することも行っています。その5年間のデータがどんなことを語っているかちょっとだけ紹介してみようと思います──


この図の縦軸は放射性セシウム合算地の濃度、横軸は福島原発事故からの経年で、数地点の年ごとのセシウム濃度と、事故時に環境へ撒き散らされた放射性セシウムが物理的半減期にしたがって減衰(一様で緩やかに減少している線)した場合の想定値を分散図にしたものです。物理的半減期の想定線にくらべると私たちが採取した土壌のデータは総体として減少の傾向が看てとれますが、個々にはかなりの乱高下があります。これはそれぞれの採取地点で小石や草木の根など混入物(異物は細心の注意で除いていますが)や採取深さのばらつきなど、実験室のように一様な環境で検体が得られないという制約からある程度は許容しなければなりません。しかしそれでもなお上昇傾向を示すものがあることに留意したいと思います、今日、環境半減期とか生態学的半減期に沿った結果であることも否定できないからです。

留意事項のもう一点は、半減期の短いセシウム134が相当の高汚染でないと通常の測定器では見えないくらいに少なくなっており、これから測定にひっかかるのはおおむねセシウム137、こちらは半減期が長いので目立った変化が表れなくなります。逆に言えば今の汚染濃度が今後もながらく続くということであり、環境での循環や濃縮のおこるところでは高まることはあってもなかなか下がらないと言うことです。そのような状況を見出すこともこれからの測定の視点として持たなければならないでしょう(yos)