2013年9月22日日曜日

学校や保育園の土壌測定まとまる

初夏からお盆過ぎまで続けてきた町内の学校(小中一貫校)と保育園(4ヶ所)そして町営グランドと合わせて6ヶ所(検体は30を越える)の放射能濃度測定がなんとか終了しレポート(出来るだけ簡潔にして A4で40枚ほど)にまとめた。レポートはさしあたって一般公開されないが、結果は、ある程度は予測の範囲にあり、あるものは思いがけないものだった。

すでに私たちはチェルノブイリから学んでいるように、その置かれた情況に即して測定してみなければ、憶測や推測がさほど機能しないことを、改めて教えられた気がしている。幾らか分かってきたことは我らが町のあたりでも、軒下や雨樋升だけではないホットスポットがあり得ることだろうか・・・検出器はシンチレーション型であるが、2セシウムに関してほとんどの検体で検出下限値1Bq/kg以下となっている。

そして本当の課題はこれからであろう、すなわちこれらの結果がどのようにして生きたものになるかだ。事故原発の近隣でさえ想像を絶する汚染がうやむやにされている此の国で、比較にならぬほど微量な汚染に私たちはどのような折り合いが着けられるか、と云うことである(yos)

2013年9月13日金曜日

みんなのデータサイト

http://www.minnanods.net

みんなのデータサイトは〝全国の市民放射能測定所が測定した結果を、簡単に、検索・閲覧・共有できるウェブサイトを目指している〟とのことです。まだ私たちからデータ提供はしておりませんが、ご利用下さい(yos)

2013年9月11日水曜日

私たちは何を測っているのか

9.11
二年半前までは米国ニューヨークのふたつの高層ビルにあいついで旅客航空機が突入炎上、そして倒壊、犠牲者多数、いわゆる〝同時多発テロ〟を象徴するものでした。それは今でも変わりませんが、此の日本では 3.11東日本大震災があってあれから●年と半年、として .11は二重に象徴の重なるものとなりました。今日はその東日本大震災からちょうど2年と半年の節目であり、今日、何らかの形で放射能汚染と向かい合うことになった人々にとって、その原点となった日、期して瞑すべしと思います。

さて此のブログに関して〝言葉はやさしいがそれでも分からない〟という感想がスタッフに寄せられているようです。特定の方と対面しその状況に即して話せる(書ける)わけではないですし、また筆者もゼロから百まで熟知しているのでもないから、これからもしばしばそういう局面がありそうです。もしお時間が取れるようでしたら測定所までいらして見てください、一緒に解決しましょう。

ところで、核をめぐる問題は、いちばん始めはギリシャで起こりました。物質を細かくこまかく砕いてそれ以上は分解できない最小の粒を想定してアトム(いわゆる原子ですね)と名付けたところが起源です。そして「アトム」は現在でも使われている言葉です。しかしながら、紀元前数世紀のギリシャ人たちはアトムを見たわけでありません、ひとつのアイデアでしかありませんでした──

それが近代になると人知はアトムが本当にひとつの粒として存在するものだと確認します。それどころかアトムが物質の究極の単位などじゃなく、アトムもまた更なる微小な物質の寄り集まったものであることまで知るようになりました。実際にもっと細かく砕いてしらべてみるという手段を獲得するようになっていたのです。昨年の話題だったCERNのハドロン(究極の粒子のひとつと目される)を確認したと云う加速器や、これから東北地方に誘致しようとしている巨大線形加速器、あるいは一部の原子炉などもそのひとつです。

原子を形作っている更に微小な粒を物理学の世界では「素粒子」と呼びます、こうした素粒子は宇宙創世の時に生み出され、時(宇宙的時間)のなかで結びつきあってさまざまな原子となって落ちついていたり、いまだ宇宙空間にさまよえる微粒子であったりしているのですが、これらは原子や素粒子の衝突(つまり打つけて壊す)実験、天文学的観測や素粒子の振舞いの理論的考察から得られた知識であり、いなまお獲得途中の知識です。

こうしてギリシャ人が物質の最小単位だと考えた素朴なアトムは、実はさらに小さな微粒子の結合体であると理解するようになり、それらの微粒子(素粒子)を結びつけている「力」が強大なものであることを発見したとき、それを巧く壊して取りだせば膨大なエネルギーを獲得できることに気付きます。それが原子爆弾となって具現し、あるいは発電用原子炉などになりましたが、原子が割られて中の素粒子がこぼれ落ちるときの姿が実は「放射線」で、どの素粒子がどのように飛び出しているかによって放射線の性質に違いがでてきます。私たちが測定するものはそのひとつであるガンマー(γ)線と呼ばれるものです。

では、なぜガンマー線を見る(測る)のか、それはまた別の話題にしたいと思います(yos)

2013年9月3日火曜日

シンチか ゲルマか

東電・福島第一原発のメルトダウン以降、私たちの身辺のいわば放射能汚染の実態を知ることは大きな課題になっています。その元凶である放射性物質の存在は、そこから放出される放射線を観察することで可能になりますが人間の眼では見えません。そこで放射線が物質中を通過するときに引き起こす相互作用を観察し間接的に知ることになります。

この相互作用を検知する物質にはいろいろなものがあって、電極を特殊ガスで封じ込めたガイガー管、ある種の塩類の結晶、半導体であるゲルマニウムの結晶、理科実験でおなじみのアルコール蒸気がたちこめる霧箱などもそのひとつです。それぞれに特徴がありますけれども NaI(沃化ナトリウム)結晶や Ge(ゲルマニウム)結晶を利用している測定器が一般的です。

私たちが使用している測定器は NaI結晶を用いたもので、このタイプの測定器は放射線が NaI結晶中で発する微光を観測するところからシンチレーション型とも呼ばれます。放射線への感応が良くかつ比較的安価で作れることや、維持管理が容易なので市民ベースの測定所では広く使われています。一方ゲルマニウム結晶を検出器とするタイプは、検出器を低温に維持したり、高電圧が必要だったり、感度が若干低かったりしますが、どの核種からの放射線であるかの弁別能力に優れています。両者の検出結果が比較された図がありますので掲げてみましょう。

出典:http://anp.nucl.nagoya-u.ac.jp/cloud_chamber/2009/BG_radiation.pdf
上方の黒い線がシンチレーション型検出器、下方の赤い線がゲルマニウム検出器によるものです。特質をいかした使い分けが賢明でしょう(yos)