2013年9月3日火曜日

シンチか ゲルマか

東電・福島第一原発のメルトダウン以降、私たちの身辺のいわば放射能汚染の実態を知ることは大きな課題になっています。その元凶である放射性物質の存在は、そこから放出される放射線を観察することで可能になりますが人間の眼では見えません。そこで放射線が物質中を通過するときに引き起こす相互作用を観察し間接的に知ることになります。

この相互作用を検知する物質にはいろいろなものがあって、電極を特殊ガスで封じ込めたガイガー管、ある種の塩類の結晶、半導体であるゲルマニウムの結晶、理科実験でおなじみのアルコール蒸気がたちこめる霧箱などもそのひとつです。それぞれに特徴がありますけれども NaI(沃化ナトリウム)結晶や Ge(ゲルマニウム)結晶を利用している測定器が一般的です。

私たちが使用している測定器は NaI結晶を用いたもので、このタイプの測定器は放射線が NaI結晶中で発する微光を観測するところからシンチレーション型とも呼ばれます。放射線への感応が良くかつ比較的安価で作れることや、維持管理が容易なので市民ベースの測定所では広く使われています。一方ゲルマニウム結晶を検出器とするタイプは、検出器を低温に維持したり、高電圧が必要だったり、感度が若干低かったりしますが、どの核種からの放射線であるかの弁別能力に優れています。両者の検出結果が比較された図がありますので掲げてみましょう。

出典:http://anp.nucl.nagoya-u.ac.jp/cloud_chamber/2009/BG_radiation.pdf
上方の黒い線がシンチレーション型検出器、下方の赤い線がゲルマニウム検出器によるものです。特質をいかした使い分けが賢明でしょう(yos)

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