2013年11月26日火曜日

'13年の公開測定日は終了しました

11月25日をもって今年の公開測定日は終了いたしました。

最近は公開日の測定依頼も少なくなっておりましたが、そんななかで最終日の測定件数は5件(他に待機中の検体1件)あり、測定開始以来の総数は通算四百台半ばに達しております。まだ放射能汚染の危機は解消されていないとの認識に立って、来春にはまた公開日を再開するつもりでおりますが、それまで緊急に測定する必要が生じたときには相談ください、出来うる限りの応対をいたしたく思います。

2013年11月19日火曜日

ベクレルチェッカーズのミーティング開催

少しばかり日が経って仕舞いましたけれども、11月16日、前にも触れたことですが、県内の「ベクレルチェッカーズ」のミーティングを私たちの「黒姫駅前みんなの測定所」で行いました。遠来の方5名に私たち信濃町勢あわせて13名、それぞれの測定所の近況やホットな話題を午後1時半ごろから暗くなるまで話したり学んだりし、さらに黒姫高原のペンションに場を移し(子供たちも加わって)懇親会。宿泊組はなんと深夜まで放射能や放射能測定にかかわるお喋り続けました。

今回、私たちは我が町が北信濃であるから隣りの新潟方面に声をかけてみようとか、放射能は「究極の廃棄物」と日頃話されていらした近くにお住まいのゴミ問題の専門家をにも来て頂けるといいなあと企画をねっていたのですが、それらは諸事情から叶いませんでした。それでも町役場から休日にもかかわらず町の空間線量測定の担当Mさんにも参加してもらうことが出来ました。そしてMさんのサプライズ発言──

〝あそこの土はすでに入れ替えた〟

あそこの土とは、私たちが測定したところで比較的セシウム濃度高かった保育園の一隅ですが、国の除染基準などより遥かに遥かに低いところ、参会者一同から拍手が湧きました。


2013年11月3日日曜日

〝食品中の放射性物質検査データ〟再開

食品中の放射性物質検査データ:
http://www.radioactivity-db.info

本サイトは、厚生労働省が公表した食品中の放射性物質の検査結果に基づき、検査結果の検索を可能としたものです。検査結果については、随時追加を行っていますが、必ずしも最新のデータが反映されていない場合があります。また、報道発表資料に無い情報は「-」と表記しています。

追伸:URLが変更されていますので上記も修正(11月6日)しました。

放射能測定の確認試験に参加します

私たちの測定所でも下記のイヴェントに参加します。今年度の測定には此の成果を反映できませんが、これまでのたくさんの測定結果(400件を越えています)の確からしさを客観的に比較できる機会になるので期待をもって開始を待っています。


放射性セシウムを含む玄米試料を用いた
放射能測定確認試験の実施について
2013年10月23日

 (独)産業技術総合研究所(産総研)と(独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所(食総研)はこれまで共同で、放射性セシウム濃度を認証した認証標準物質の開発やゲルマニウム半導体検出器を対象としたU8容器、2 Lマリネリ容器を用いた技能試験を実施してきました。

 今回はシンチレーション式放射能測定器をお持ちの測定者の皆様が試料測定の妥当性(確からしさ)をご自分で確認できるように、放射能測定の確認試験を産総研と食総研の共同で実施いたします。本確認試験では濃度未知の試料を測定する技能試験とは異なり、参加者に放射能濃度をお知らせした上で認証標準物質(NMIJ CRM 7541-b)と同等の玄米試料を回付します。この試料を測定し、得られた測定値とお知らせした放射能濃度(参照値)を比較することで、測定の妥当性を確認できます。

 本確認試験は校正等の機器管理を行っているシンチレーション式放射能測定器を所有または管理している方を対象としています。本試験のプロトコルに示されたシンチレーション式放射能測定器の専用容器に充填した放射性セシウムを含む玄米試料について、セシウム134及びセシウム137の個別あるいは合算の放射能濃度[Bq/kg]を測定していただきます。

・確認試験の参加費は無料です。試料の輸送費(受取、返送とも)をご負担ください。
・試料回付については、各機種の販売元等試験協力実施機関より行います。
・参加いただける機種については、プロトコルに表示しておりますので、参加申し込み前に必ずプロトコルをご確認ください。
・募集受付期間は10月30日(木)から11月14日(木)を予定しております。先着順のため、定員を超えた場合、お断りすることがあります。
・確認試験の目的は放射能測定の妥当性確認ですので、装置の特性比較を目的とした参加は ご遠慮ください。

問合せ先:hikaku25-ml@aist.go.jp
産業技術総合研究所 計量標準総合センター 三浦、柚木
参加お申込みの方は、10月30日以降こちらをクリックして必要事項を入力後、送信してください。

2013年10月26日土曜日

黒姫山と斑尾山をふくむ町内の放射能測定まとめ

黒姫山や斑尾山を含む町(長野県信濃町)全般のセシウム汚染濃度をまとめてみました。特に依頼をうけた測定ではありませんから、従って何処にも報告義務は有りませんが、先にまとめた学校や保育園などと合わせれば数十ポイントにもなるデータですから、記録して残すに値するものであるでしょう。

そうして、これらを纏めたことで興味深いことが見えてきました、それを紹介してみようと思います。その内容を端的に示したのが次のグラフです。

中央がセシウム137の、左右の高まりがセシウム137L/134Hそれぞれのピーク

このグラフには5種類のガンマー線スペクトルがおなじスケールで表示されていますけれども;

▶上のふたつ(2と4)が汚染検体でよく見られるセシウム137セシウム134が福島第一原発事故で放出された指紋を持っているもの、つまり両セシウム濃度の比率が放出時からの時間で決まる半減期に従っているものです。
▶次いで三番目と四番目(3と1)はセシウム137セシウム134に対して卓越していた例です。
▶そして一番下は建てられてから百年は経っている古い家屋の床下から採って来た土を測ったもので、此の土は大気圏核実験やチェルブイリや福島の事故の影響を受けていないだろうと考えられるものです。事実このスペクトルにはセシウム137セシウム134顕われていません

さて私たちが注目したいのはセシウム137(うえのグラフで薄茶色に選択されている)が卓越しているスペクトルです。セシウム137が卓越する理由として(単純な誤測定は別として)(a)セシウム137に近接するガンマー線エネルギーを持つ核種を私たちの測定器が弁別できず、その核種をセシウム137と看做して数えている、もしくは(b)福島の事故以前からセシウム137存在した、と云うことが考えられます。

(a)に関して福島事故で放出された核種のひとつに 銀110m(Ag110m)と云うものがあります。この核種のガンマー線の1本が 657keVというエネルギーを持っており、セシウム137661keVときわめて近く NaIシンチレーション型の検出器では分離して測定することは無理とされています。なお Ag110m は一部の魚介類や陸上の生物でも検出され濃縮されているとの報告があります。

(b)とすれば少なくともセシウム134との比率から推定できるもの以上のセシウム137が福島の事故以前からあった、つまり大気圏核実験やチェルノブイリからのセシウム137残存して可能性が浮かんできます。これらの残存放射能は、日本で平均すると数Bq/kgぐらいと云われていますけれども、調べてゆくと福島事故前でキログラムあたり数ベクレルから百数十ベクレルの記録が(近隣でも)ある由、そうだとすれば私たちの測定の結果も妥当なものになってきます・・・

どちらにせよ、精密測定してみなければ結論は出せませんが。

2013年10月5日土曜日

信濃町のキノコ、新聞記事から

私たちの測定所がある信濃町(長野県)にも秋の兆しが見え隠れするようになりました。秋はまた味覚の秋ともいわれ、その中でも自然に近いところに暮らす私たちにとってキノコはその代表格です。キノコには有毒のものもあって、死に至ることすらありますけれども、放射能汚染という立場から、キノコは一般に用心すべきものとされています。

ところで今朝の地元紙(信濃毎日新聞)にこんな記事が掲載されたとのこと;
県林務部は信濃町の山林内で採取した野生きのこのハナイグチ2検体を調べた結果、国の基準値を下回る1キログラム当たり37ベクレルと同15ベクレルの放射能をそれぞれ検出したと発表した。同部は食べても問題ないとしている。いずれも3日に採取し、県環境保全研究所で調べた。
この記事から仔細は分かりませんが、私たちの測定例でもこの程度の値はしばしば検出されますし、この値自体にさほどの疑問はもっていません。ただ少しだけ注意していただきと思うのは、2検体の放射能濃度に倍以上の違いがあることでしょうか。いずれにも採取場所がしめされていませんから、私たちはこれをもって、信濃町産の天然キノコ全般の放射能濃度とみることは留保したいと思います──

と、いいますのも「黒姫駅前みんなの測定所」を開設して一年のあいだに、私たちは此の〝町内の土壌のセシウム汚染濃度は場所により相当な開きがある〟ことを知ってきたからです。できれば春のフキノトウのように町内各所からサンプル採取しキノコの汚染実態を確かめたいと考えているのですが、未だそこまでの余力がありません。

なおキノコの測定を依頼されるあたって、試料として加工(フードプロセッサーにかけた)したキノコは比較的短時間で変成(膨張する)して仕舞うことが多いので、フードプロセッサーに入れる前に測定所のようすをお訊ね(すぐに測定開始できるかを)くださることをお勧めします(yos)

2013年9月22日日曜日

学校や保育園の土壌測定まとまる

初夏からお盆過ぎまで続けてきた町内の学校(小中一貫校)と保育園(4ヶ所)そして町営グランドと合わせて6ヶ所(検体は30を越える)の放射能濃度測定がなんとか終了しレポート(出来るだけ簡潔にして A4で40枚ほど)にまとめた。レポートはさしあたって一般公開されないが、結果は、ある程度は予測の範囲にあり、あるものは思いがけないものだった。

すでに私たちはチェルノブイリから学んでいるように、その置かれた情況に即して測定してみなければ、憶測や推測がさほど機能しないことを、改めて教えられた気がしている。幾らか分かってきたことは我らが町のあたりでも、軒下や雨樋升だけではないホットスポットがあり得ることだろうか・・・検出器はシンチレーション型であるが、2セシウムに関してほとんどの検体で検出下限値1Bq/kg以下となっている。

そして本当の課題はこれからであろう、すなわちこれらの結果がどのようにして生きたものになるかだ。事故原発の近隣でさえ想像を絶する汚染がうやむやにされている此の国で、比較にならぬほど微量な汚染に私たちはどのような折り合いが着けられるか、と云うことである(yos)

2013年9月13日金曜日

みんなのデータサイト

http://www.minnanods.net

みんなのデータサイトは〝全国の市民放射能測定所が測定した結果を、簡単に、検索・閲覧・共有できるウェブサイトを目指している〟とのことです。まだ私たちからデータ提供はしておりませんが、ご利用下さい(yos)

2013年9月11日水曜日

私たちは何を測っているのか

9.11
二年半前までは米国ニューヨークのふたつの高層ビルにあいついで旅客航空機が突入炎上、そして倒壊、犠牲者多数、いわゆる〝同時多発テロ〟を象徴するものでした。それは今でも変わりませんが、此の日本では 3.11東日本大震災があってあれから●年と半年、として .11は二重に象徴の重なるものとなりました。今日はその東日本大震災からちょうど2年と半年の節目であり、今日、何らかの形で放射能汚染と向かい合うことになった人々にとって、その原点となった日、期して瞑すべしと思います。

さて此のブログに関して〝言葉はやさしいがそれでも分からない〟という感想がスタッフに寄せられているようです。特定の方と対面しその状況に即して話せる(書ける)わけではないですし、また筆者もゼロから百まで熟知しているのでもないから、これからもしばしばそういう局面がありそうです。もしお時間が取れるようでしたら測定所までいらして見てください、一緒に解決しましょう。

ところで、核をめぐる問題は、いちばん始めはギリシャで起こりました。物質を細かくこまかく砕いてそれ以上は分解できない最小の粒を想定してアトム(いわゆる原子ですね)と名付けたところが起源です。そして「アトム」は現在でも使われている言葉です。しかしながら、紀元前数世紀のギリシャ人たちはアトムを見たわけでありません、ひとつのアイデアでしかありませんでした──

それが近代になると人知はアトムが本当にひとつの粒として存在するものだと確認します。それどころかアトムが物質の究極の単位などじゃなく、アトムもまた更なる微小な物質の寄り集まったものであることまで知るようになりました。実際にもっと細かく砕いてしらべてみるという手段を獲得するようになっていたのです。昨年の話題だったCERNのハドロン(究極の粒子のひとつと目される)を確認したと云う加速器や、これから東北地方に誘致しようとしている巨大線形加速器、あるいは一部の原子炉などもそのひとつです。

原子を形作っている更に微小な粒を物理学の世界では「素粒子」と呼びます、こうした素粒子は宇宙創世の時に生み出され、時(宇宙的時間)のなかで結びつきあってさまざまな原子となって落ちついていたり、いまだ宇宙空間にさまよえる微粒子であったりしているのですが、これらは原子や素粒子の衝突(つまり打つけて壊す)実験、天文学的観測や素粒子の振舞いの理論的考察から得られた知識であり、いなまお獲得途中の知識です。

こうしてギリシャ人が物質の最小単位だと考えた素朴なアトムは、実はさらに小さな微粒子の結合体であると理解するようになり、それらの微粒子(素粒子)を結びつけている「力」が強大なものであることを発見したとき、それを巧く壊して取りだせば膨大なエネルギーを獲得できることに気付きます。それが原子爆弾となって具現し、あるいは発電用原子炉などになりましたが、原子が割られて中の素粒子がこぼれ落ちるときの姿が実は「放射線」で、どの素粒子がどのように飛び出しているかによって放射線の性質に違いがでてきます。私たちが測定するものはそのひとつであるガンマー(γ)線と呼ばれるものです。

では、なぜガンマー線を見る(測る)のか、それはまた別の話題にしたいと思います(yos)

2013年9月3日火曜日

シンチか ゲルマか

東電・福島第一原発のメルトダウン以降、私たちの身辺のいわば放射能汚染の実態を知ることは大きな課題になっています。その元凶である放射性物質の存在は、そこから放出される放射線を観察することで可能になりますが人間の眼では見えません。そこで放射線が物質中を通過するときに引き起こす相互作用を観察し間接的に知ることになります。

この相互作用を検知する物質にはいろいろなものがあって、電極を特殊ガスで封じ込めたガイガー管、ある種の塩類の結晶、半導体であるゲルマニウムの結晶、理科実験でおなじみのアルコール蒸気がたちこめる霧箱などもそのひとつです。それぞれに特徴がありますけれども NaI(沃化ナトリウム)結晶や Ge(ゲルマニウム)結晶を利用している測定器が一般的です。

私たちが使用している測定器は NaI結晶を用いたもので、このタイプの測定器は放射線が NaI結晶中で発する微光を観測するところからシンチレーション型とも呼ばれます。放射線への感応が良くかつ比較的安価で作れることや、維持管理が容易なので市民ベースの測定所では広く使われています。一方ゲルマニウム結晶を検出器とするタイプは、検出器を低温に維持したり、高電圧が必要だったり、感度が若干低かったりしますが、どの核種からの放射線であるかの弁別能力に優れています。両者の検出結果が比較された図がありますので掲げてみましょう。

出典:http://anp.nucl.nagoya-u.ac.jp/cloud_chamber/2009/BG_radiation.pdf
上方の黒い線がシンチレーション型検出器、下方の赤い線がゲルマニウム検出器によるものです。特質をいかした使い分けが賢明でしょう(yos)

2013年8月31日土曜日

ベクレルチェッカーズの会合に参加しました

長野県下には市民ベースの放射能測定所が何カ所かあり、それぞれにユニークな活動をされていますけれども、こうした測定所や人々のネットワーク(長野県放射能測定所連絡会 ベクレルチェッカーズ)が作られており、今度が6回目となる会合が開催されました。私たちの測定所では前回から出席しておりますけれども、今回(8月31日)は3名で出かけました。参加者総勢は9名、そしてスカイプでの参加が1名でした。

ミーティングはそれぞれの測定所の近況報告や、放射線測定をめぐる新旧の話題で午後の時間は瞬く間にすぎて仕舞いました── チェルノブイリ事故が契機ではじめられ今にも継続している空間線量測定ネットワーク R-DAN のこと、そして最新の ホットスポットファインダー (高感度センサーを備え、空間線量マップが容易に作成でき、スペクトルさえ見られる)の実物を神奈川から持参されたのを披露していただいたり、今回のミーティングのホスト役だったアイメジャー信州放射能ラボ(代表 市ノ瀬さん)のゲルマニウム検出器(私たちのところで微妙な結果がでた場合に、より精密な測定を望まれる時はご紹介いたします)を見せて頂いたりしました。

そうそう次回は10月頃に私たちの「黒姫駅前みんなの測定所」がホスト役になります(yos)

2013年8月26日月曜日

加工食品の放射能を測る

私たちの測定所に持ち込まれる食品は、野菜や穀類や芋類、きのこ、果実といった、単品食材の場合が多いのですけれども、先日、お菓子屋さんからの測定依頼がありました。商品名はあるのですが、今は、たい焼きとかワッフルのようなものを思い浮かべて下さい。

単品の野菜などとちがってこうしたものは例えば、餡になるもの、それを包むものなど、その味や風味や食感などを職人さんが様々に食材を組み合わせ、創意工夫して作り上げるのだとお聞きしました。つまり多数の食材の複合物となるわけですが、測定に際してひとつの物として扱われます。

今、仮にその商品が3種の食材から作られており、そのうちの1種だけがセシウム汚染されていたとしますと、汚染食品がもっていたセシウムは汚染されていないものに混合し拡散されるので、結果として薄められた値となります。組み合わせの割合によってはたやすく検出下限となってしまう事でしょう。

ベクレルフリーを期すならば、商品の素材毎にチェックされることを推奨します(yos)

2013年8月12日月曜日

食品の放射能データ検索サイト

目下、厚生労働省は、都道府県等が調査した食品中の放射性物質の検査結果を毎日とりまとめて公表しています。ですが、それらは膨大な量であり、それらを日常的に追うことはほとんど不可能です。ここに三重大学の奥村先生が、地域、食品カテゴリ、品目、汚染レベルをキーワードにして簡単に調べられるWebサイトを用意してくださっています。右に、そのサイト『食品の放射能データ検索』へのリンクを設けました、ご利用ください(yos)