2013年9月11日水曜日

私たちは何を測っているのか

9.11
二年半前までは米国ニューヨークのふたつの高層ビルにあいついで旅客航空機が突入炎上、そして倒壊、犠牲者多数、いわゆる〝同時多発テロ〟を象徴するものでした。それは今でも変わりませんが、此の日本では 3.11東日本大震災があってあれから●年と半年、として .11は二重に象徴の重なるものとなりました。今日はその東日本大震災からちょうど2年と半年の節目であり、今日、何らかの形で放射能汚染と向かい合うことになった人々にとって、その原点となった日、期して瞑すべしと思います。

さて此のブログに関して〝言葉はやさしいがそれでも分からない〟という感想がスタッフに寄せられているようです。特定の方と対面しその状況に即して話せる(書ける)わけではないですし、また筆者もゼロから百まで熟知しているのでもないから、これからもしばしばそういう局面がありそうです。もしお時間が取れるようでしたら測定所までいらして見てください、一緒に解決しましょう。

ところで、核をめぐる問題は、いちばん始めはギリシャで起こりました。物質を細かくこまかく砕いてそれ以上は分解できない最小の粒を想定してアトム(いわゆる原子ですね)と名付けたところが起源です。そして「アトム」は現在でも使われている言葉です。しかしながら、紀元前数世紀のギリシャ人たちはアトムを見たわけでありません、ひとつのアイデアでしかありませんでした──

それが近代になると人知はアトムが本当にひとつの粒として存在するものだと確認します。それどころかアトムが物質の究極の単位などじゃなく、アトムもまた更なる微小な物質の寄り集まったものであることまで知るようになりました。実際にもっと細かく砕いてしらべてみるという手段を獲得するようになっていたのです。昨年の話題だったCERNのハドロン(究極の粒子のひとつと目される)を確認したと云う加速器や、これから東北地方に誘致しようとしている巨大線形加速器、あるいは一部の原子炉などもそのひとつです。

原子を形作っている更に微小な粒を物理学の世界では「素粒子」と呼びます、こうした素粒子は宇宙創世の時に生み出され、時(宇宙的時間)のなかで結びつきあってさまざまな原子となって落ちついていたり、いまだ宇宙空間にさまよえる微粒子であったりしているのですが、これらは原子や素粒子の衝突(つまり打つけて壊す)実験、天文学的観測や素粒子の振舞いの理論的考察から得られた知識であり、いなまお獲得途中の知識です。

こうしてギリシャ人が物質の最小単位だと考えた素朴なアトムは、実はさらに小さな微粒子の結合体であると理解するようになり、それらの微粒子(素粒子)を結びつけている「力」が強大なものであることを発見したとき、それを巧く壊して取りだせば膨大なエネルギーを獲得できることに気付きます。それが原子爆弾となって具現し、あるいは発電用原子炉などになりましたが、原子が割られて中の素粒子がこぼれ落ちるときの姿が実は「放射線」で、どの素粒子がどのように飛び出しているかによって放射線の性質に違いがでてきます。私たちが測定するものはそのひとつであるガンマー(γ)線と呼ばれるものです。

では、なぜガンマー線を見る(測る)のか、それはまた別の話題にしたいと思います(yos)

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