2013年8月3日土曜日

測定結果をみるときに頭にいれておくと良いこと

ひとつ前に示した測定結果には;
・何時、何を、どのように測定したか
・単位重量当たりのベクレル値
・測定結果のグラフ(いわゆるスペクトル)
・どのような核種を同定したか(あるいはしなかったか)
などが記載されています。
最々終結果である「セシウム合計」値だけを見ていると思わぬ誤解や、数値だけが一人歩きすることにつながりかねません、心しておきましょう。

検体にセシウムが含まれているかいないかを直感的に示しているのが「スペクトル」です。端的な例をしめしますので、イメージトレーニングしてください。

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この図に土色で示された線が先にあげた測定結果から描いたもの、おなじく水色の線は黒姫山麓の湧水を測定した結果です。黒姫山麓の湧水に目下のところ東電福島第一原発由来の放射能汚染の兆候はありませんし他の天然核種もほとんど検出されず、水色の線はいわば此の辺りの環境放射線つまりバックグランドとほぼ看做しうるものです。

これら2線の比較から明らかなように、検体がセシウム汚染されていると土色の線に見られるような特異なピークが現れるようになります。上図ではセシウム合算で 200Bq/kg 程度ですが、さらに多ければピークがいっそう鋭くなり低ければ平坦な水色に近づいてゆきます。なお上図で選択されたピークはセシウム137のもので、その左方のピークはセシウム134の低エネルギー線、右方は同じくセシウム134の高エネルギー線のピークです、この特徴的なみっつのピークはしばしば「セシウム三兄弟」などと呼ばれました。福島由来の放射能汚染の有無のひとつの目安です。

また低エネルギー側におおきく立っているたくさんのピークは自然界にもともと存在している鉛など、1500keV辺りにみられる低いピークはカリウム40でこれも天然由来のものです。他にも多数の天然の放射線ピーク(ビスマス Bi やアクチニウム Ac など)が観測されて、しばしばセシウム誤判定の元凶になることがあります。

もうひとつのポイントはセシウム137とセシウム134の比率です。

福島第一原発のメルトダウンでセシウムが外界に飛散したときの比率はほぼ 1:1 だったとされ、それ以降は両核種の半減期の違いからこの比率は刻々(とは云っても昨日・今日・明日で劇的に違うというほどではない)と変わっており、測定結果の(測定時での)この比率は福島由来のセシウムの「指紋」と看做されます。

此の値は単純な算術計算で得られますが、横浜市民測定所の青木さんがWebからも計算できるようしてくださっておりますので感謝しつつリンクしておきます → セシウム比の計算

測定結果がこの比率とおおきくずれているときは、他の核種の誤カウントや測定手順の誤りの可能性がありますので、そうした眼で測定や結果を吟味する必要があるでしょう(yos)

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